2025年4月1日より、広島大学と株式会社ノバセルとの共同研究講座ノバセルサイエンスファーマ研究室がスタートします。
アクチニウム225(Ac-225)を用いた標的アルファ線治療は、がん細胞をアルファ線で正確に狙い撃ちする新しいがん治療です。この治療は、健康な細胞へのダメージを最小限に抑え、がんが体内のさまざまな部位に転移するようなケースでも有効と期待されています。しかし、Ac-225は世界的に供給が不足しており、安全で安定的な供給体制の構築が課題です。株式会社NovAccelと広島大学は共同してAc-225の安定的な生成と供給を目指した超伝導加速器を開発し、Ac-225を製造実証を広島大学にて行います。
ノバセルサイエンスファーマ研究室の代表には、当研究室の栗木雅夫教授が就任します。標的アルファ線治療はこれまで救えなかった転移性のがんなどにも有効である可能性をもつ、いま世界的に注目を集めるがん治療です。この実現への最大のネックがアクチニウム225をはじめとする同位体の安定供給です。素粒子物理学の次期計画である国際リニアコライダー計画ILCや放射光施設のために培われた超伝導加速器の技術が、この実現に大きく貢献します。これは科学研究の成果の社会への還元の一例であり、この実現は現代を生きる科学者の責務だと思っています。多くの人の命を救う医療の実現を目指します。
(栗木 雅夫 大学院先進理工系科学研究科・教授)