Welcome to Accelerator Physics Group

こちらは広島大学先進理工系科学研究科の加速器物理グループのホームページです。

加速器物理グループは2020年4月に発足した新しい研究グループです。加速器研究における物理、そして加速器研究を通じた新たな物理研究の可能性を常に追求しています。

粒子加速器とは?
粒子加速器とは、電子や陽子などの電荷を持った粒子を加速し、エネルギーを高める装置です。加速には非常につよい電磁場を用います。その電場の大きさは50MV/m (1メートルあたり50,000,000ボルトの電圧)にも達します。

粒子加速器により粒子のエネルギーを高めると、何がいいのでしょうか?エネルギーの高い粒子は次のような特徴があります。これらの特徴を利用して、加速器は基礎科学、応用科学、工業利用、医療応用、などの幅広い分野で活用されているのです。

高エネルギー粒子の特徴とその利用法
短いドブロイ波長:高いエネルギーの粒子は、極めて短いドブロイ波長を有します。このことから、高エネルギーの粒子は空間分解能の極めて高いプローブとして利用することが出来ます。
高い粒子生成能力:真空とうい「何もない空間」に大きなエネルギーを与えると、そこに隠れていた未知の粒子が飛び出してきます。出てくる粒子の質量は与えるエネルギーに比例します。すなわち、高いエネルギーを与えれば与えるほど、重い粒子を生成することができます。この方法を使い、真空の不思議な性質、そして宇宙の始まりの謎に挑むことが可能となります。

このように、粒子加速器は、宇宙の始まりの謎に挑む研究を支える協力な装置なのです。量子力学、統計力学、そして相対論を三本柱とする現代物理体系は、広い現象を精密に記述する素晴らしい体系です。しかし、現代物理でも理解できない多くの謎、それも基本的な問題が未解決のまま残されています。その謎とは

質量はどうして生まれたか?ヒッグス粒子はボゾンとフェルミオンに異なるやり方で質量を与え、真空に凝縮し、自発的に対称性を破るという、複雑な機能を持っているのか?

反物質と物質は等量生まれたはずだが、なぜ宇宙には物質だけしかないのか?

宇宙にはなぜ暗黒物質があるのか?

宇宙は何故加速膨張をしているのか?なぜ、暗黒エネルギーがあるのか?

ニュートリノはなぜとても軽いのか?

重力は何故弱いのか?

などです。これらは物理の基本的な疑問であるにもかかわらず、答えのわからない問題です。例えていうなら、自分が住んでいる狭い村のことはよくわかっているが、峠の向こう側には何があるのか、雨がなぜ降るのか、風がなぜ吹くのか、太陽はなぜめぐるのかわからない、ということでしょうか。

粒子加速器は、高エネルギー粒子という武器でこれらの問題に挑みます。

宇宙のことを研究するのであれば望遠鏡、衛星、あるいは惑星探査機などをつかうのがいいのではないか?そんな風に思われるかもしれません。しかしそれは大きな誤解です。物理における宇宙とは、この世界全体のことを指します。地球上、太陽系の惑星間空間、太陽系外の銀河系の空間、そして他の銀河や、銀河間空間、それらの空間はすべて宇宙空間なのです。逆に言えば、すべての宇宙空間で成り立つ法則はは何か?という問題に答えるのが物理学です。宇宙の研究はどこでも行えるのです。あなたの手のひらには、沢山のダークマターやダークエネルギーが乗っているはずです。

そんな壮大な宇宙の謎に挑む、次世代の巨大加速器が現在日本で計画中です。その名前を国際リニアコライダーと言います。リニアコライダーは最終的に総延長50kmの超伝導加速器による装置です。この装置を日本の北上山地(岩手県、宮城県境)の、極めて安定した岩盤をもった地域に建設することが計画されています。

広島大学加速器物理研究室は、ILC国際リニアコライダーの加速器の基本設計を国内外の多くの研究機関と共同してすすめています。
そして、数年内の計画の実現を目指しています!